「筋肥大にはボリュームが大切!」
「筋肥大にボリュームは関係ない!」
筋トレをしたことがある人はどちらも聞いたことがあるかもしれないが、どちらが正しいのだろうか?
今回はそんな人のために「ボリュームが筋肥大に絶対的に重要な理由」を紹介。
- そもそもボリュームは筋トレを定量化しようとしたもの
- ボリュームは「筋肥大を予測する指標」として定義したい
- よく使われるボリュームはロードボリュームとセット数の2種類
- ボリュームには一長一短があり定義が確立されていない
今回は曖昧に語られがちな”ボリューム”について詳しく解説していきます。
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ボリュームの定義
筋トレを定量化しようとしたものがボリューム
「そもそも筋トレのボリュームってなに?」
こう聞かれたとき、ある人は「重量×レップ数×セット数」と答えるかもしれない。
あるいは単に「セット数」と答える人もいるだろう。
というのも実はボリュームにはいくつかの定義があるのだ。[1,2,3]
- ロードボリューム系
- 絶対的ロードボリューム(Volume Load):セット数×レップ数×重量
- 相対的ロードボリューム(Relative Volume Load):セット数×レップ数×%1RM
- 数える系
- 総レップ数(Total Repetitions):セット数×レップ数
- セット数(Hard Set):セット数
- 物理系
- 総仕事量(the total work):力 [N]] ×距離 [m]
- 時間系
- テンション時間(Time under tension):エキセントリックの時間+コンセントリックの時間
- 主観も入れた系
- トレーニングインパルス(Trarining Impulse)
そもそもなんでこんなにもたくさんのボリュームの定義があるのか?
それはボリュームの定義自体が時代を通して移り変わっているからだ。
というのもボリュームが同じなら筋肥大も同じになるように定義したいのだが、それがうまくいかずに紆余曲折あった結果ボリュームの定義が乱立しているのだ。R [3]
The main challenge with training volume is its quantification (16). A good quantification method should imply similar muscle gains at matched training volume, independently of other training variables including intensity, training frequency, rest between sets, movement velocity, exercise order, etc. (25).
「トレーニングボリュームにおける主な課題はその定量化方法にある。よい定量化方法は、ボリュームを揃えたときに同様の筋肥大となるような方法だ。そしてそれは他のトレーニング変数...例えば強度や頻度、セット間のインターバル、挙上速度に依存しないのが望ましい。」
まずボリュームというのは、筋トレを定量化したもの。
そして大事なことが、ボリュームが同じ=筋トレの量が同じ=筋肥大も同じとボリュームを定義したいということ。
要するにボリュームとは「筋肥大を予測する指標」として定義したいというモチベーションがある。
なのでボリュームの定義こそコロコロ変わることはあるが、ボリューム自体が筋肥大に重要でないことはありえない。
そういったボリュームの定義は時代の流れとともに淘汰されるからだ。
筋肥大には強度は関係なさげ
そしてボリュームというのは、できれば”他の変数”に依存しないように定義したい。
つまり強度が変わろうと頻度がかわろうと、ボリュームが同じなら筋肥大も同じとなるのが望ましい。
筋力の指標が強度なら、筋肥大の指標(として定義したいの)がボリュームだ。
もしここで強度が筋肥大を強く予測するなら、ボリュームなんてものは定義しなくてもよい。
しかし実際に、強度は筋肥大を予測できないことがわかっている。
- 2017年の研究[4]
- ≦60%1RM vs >60%1RMで筋力や筋肥大を比較
- 1RMは高強度に有利
- isometric strengthは有意差なし
- 筋肥大は有意差なし
- ≦60%1RM vs >60%1RMで筋力や筋肥大を比較
強度や頻度などの変数とは独立して筋肥大を予測する指標...それこそがボリュームです。
そして筋肥大を予測する指標として定義されているからこそ、ボリュームという言葉はよく出てくる。
今回はそんなボリュームについて一つずつ丁寧に解説していこう。
ボリューム①絶対的ロードボリューム
まず一つ目が絶対的ボリュームロードと呼ばれるもの。
これは「重量×レップ数×セット数」で定義されるもので、見かけることが非常に多い
Webでも本でもボリュームといえば、この絶対的ロードボリュームを指していることが多い。
ボリュームを揃えたところ同様の筋肥大が見られた...そんな文脈で語られるときのボリュームは99%がこのロードボリューム。
- 2016年の研究[5]
- 高強度低回数:週3で”2~6レップ”を"8~10セット”行う
- ボディビル式:週3で”8~12レップ”を”4~5セット”行う
- ボリュームは両グループで同一(高強度8180kg vs ボディビル式8280kg)
- 結果
- 高強度低回数 vs ボディビル式で同様の筋肥大を示した
この研究ではロードボリュームを調べたところ、同様の筋肥大が観測されたことが報告されている。
このように、ロードボリュームを揃えると同様の筋肥大が観測されることが多い。
もちろんロードボリュームを揃えると”絶対に”同様の筋肥大を示すわけではない。
しかし、多くの場合はボリュームロードを揃えると同様の筋肥大が誘発されるのだ。
そしてそれは現在でも覆っていないため、ボリュームロードは”ボリューム”として今もよく使われる。
ボリューム②相対的ロードボリューム
ボリュームの定義として広く浸透している絶対的ボリュームロード。
しかし、ひとつ欠点がある。
それは被験者間で比較ができないということだ。
この減少は、特に被験者の属性が変わる場合に顕著になる。
というのも、重量の部分が大きく変わってしまうからだ。
例えば、2つの被験者集団にベンチプレス10RM3セット→ダンベルフライ10RM3セットを行なってもらったとしよう。
- 男性:100kg×3セット → 30kg×3セット(3900kg)
- 女性:90kg×3セット → 20kg×3セット(3300kg)
このとき、絶対的ボリュームロードとしては男性側のほうが絶対的ボリュームロードは大きい。
しかし、果たして筋トレの量は男性側の方が多いと言えるだろうか?
絶対的ボリュームロードとしては小さいが、確実に男性の筋力で100kgのベンチプレスを挙げるよりも女性の筋力で90kgのベンチプレスを挙げるほうが難しいだろう。
さらにはダンベルフライよりもベンチプレスのほうが絶対的ボリュームロードを稼ぎやすいが、ダンベルフライ10RMよりもベンチプレス10RMのほうが筋肥大に効果的という通りもない
このように絶対的ボリュームロードは被験者集団やエクササイズによって大きく値が異なってくるため、絶対的ボリュームロードは研究間での比較が難しいのだ。
そこで考え出されたのが重量の部分を”%1RM”にした相対的ボリュームロード。
重量の部分を相対値にすると、先ほどの筋トレも同じ値になる。
- 男性:75%1RM×3セット → 75%1RM×3セット(4500)
- 女性:75%1RM×3セット → 75%1RM×3セット(4500)
このように絶対的ボリュームロードを異なる被験者間でも比較できるようにしたのが”相対的ボリュームロード”なのだ。
絶対値 vs 相対値
では絶対的ボリュームロードのほうが相対的ボリュームロードより優れているのかというとそういうわけではない。
実際に相対的ボリュームロードは絶対的ボリュームロードよりも浸透していないが、それには理由がある。
- そもそも違う被験者集団やエクササイズを比較する意味がない
- 個人で相対的ボリュームロードを使うモチベーションがない
まず第一に、そもそも違う被験者集団やエクササイズに対して”ロードボリューム”で比較したいというモチベーションがほとんどない。
というのも相対的ロードボリュームは計算がやや面倒だし、何より後述する”セット数”という容易に比較できる指標がある。
加えて個人レベルでは相対的ボリュームロードを使うモチベーションが皆無なのも理由のひとつ。
なぜなら絶対的ボリュームロードのときにあった「個人の進捗を測る機能」が完全に失われるから。
例えば100kg10RMでベンチプレスをしていたとしよう。
このとき、日数を重ねるごとに10回の挙上が11回や12回になるかもしれない。
さらには13回ほど挙上できるようになった時点で、重量を110kgに上げて10RMにすることもあるだろう。
もし絶対的ボリュームロードで計測していたなら、重量を110kgに上げた場合でも値は増える。
しかし、相対的ボリュームロードでは最大筋力も上がっているが故に110kgも同じ75%1RMになる。
このようにトレーニングの進捗を測る効果は完全に失われるため、個人レベルでは相対的ボリュームロードを使うモチベーションが皆無。
ましてや異なる集団やエクササイズを比較したいというモチベーションもないため、相対的ボリュームロードはあまり知られていないのだ。

