「1日1万歩で痩せなかった」
「1日1万歩は過度な運動でコルチゾールが出て太る!」
ようじゅ今回は最近Xで議論を巻き起こした(?)”1日1万歩で痩せるのか”論争について見ていきます
- 1日1万歩で確かに痩せる可能性は高い
- しかし、運動だけで痩せられる量なんて微々たるもの
- 結局は食事量を調整するのが早い
痩せる or 痩せないの二元論で言えば”痩せる”と言うのが結論になるが、多くの人が思っているほど痩せるかというと(?)となる。



とはいえ1日1万歩には割と肯定派なので、今回は1日1万歩のメリットについて解説していきます
動画はこちら
1日1万歩で痩せる
結論を先に言ってしまうと、1日1万歩で痩せると言えば痩せる。
しかし、おそらく多くの人が期待しているよりは痩せない。



実際にこの問題にぴったりの研究があるので紹介します。
歩数計の使用が身体活動などのアウトカムに与える影響を調べたシステマティックレビュー。
- RCT研究では、歩数計を使用することで1日あたりの身体活動量が有意に増加した(コントロールより+2491歩増加)
- 身体活動量の増加に関する重要な予測因子は「1日10,000歩といった歩数目標を設定している」ことだった
- 全研究のデータを統合すると、歩数計利用者はBMIを0.38有意に低下させた(介入の平均期間は18週間)
この研究ではまず、歩数計の使用によって歩く量が増えたことが報告されている。


ランダム化試験の結果だけをみると、まず歩数計の使用によって2491歩も歩数が増えたことが報告されている。
そして重要なのが、歩数のゴールを設定した人だけが歩数が増えたこと。


歩数のゴールを極めなかった人は有意差なしだったのに対して、”10,000歩”という目標を決めた人は2998歩、その他のゴールを決めた人は2363歩の増加となっている。
そして最後に、歩数計を使った群はBMIが0.38減少し、このBMIの低下は、歩数目標の設定と関連していたことが報告されている。


つまり”1日1万歩”という目標を決めることによって、3000歩近く歩数が増えてBMIが低下したということになる。
しかし、そのBMIの低下は0.38という超微妙な数字。
ちなみに仮に身長170cmだとすると、BMIが0.38低下したというのは体重に換算すると1.1kgほど。



一般の人がこの程度で「痩せた」と体感できるレベルかと言うと、ぶっちゃけ疑問です
結局は食事が一番
「え、1日1万歩を頑張ったのにこれだけしか痩せないの?」



正直な話をすると、運動で痩せられるのなんてこんなものです。
たとえば食事制限に運動を追加したとしても、半年でたった0.6kg、1年でも1.72kg以下しか追加のダイエット効果がないことが報告されている。
運動と食事の併用 vs 運動のみ or 食事だけを比較したメタ分析
- 食事制限&運動 vs 食事制限では、運動の追加によって3-6ヶ月では-0.6kg、12ヶ月以上で-1.72kgの減量となった
- 食事制限&運動 vs 運動のみでは、食事制限の追加によって3-6ヶ月でも12ヶ月以上でも-6.29kgだった
一方で、運動のみの場合と比較して、食事制限を追加するとさらに-6.29kgも多く痩せる。
一般的に「食事が9割、運動が1割」とも言われるが、これはあながち間違いではない。



つまり1日1万歩歩いたからと言って痩せないわけではないが、実際は歩かないよりはマシ程度の効果しかないのも事実です
1日1万歩歩くことのメリット
それじゃあ1日1万歩歩いても意味がないの?



たしかに体重を落とすと言う意味では効果が薄い可能性がありますが、1日1万歩にはいくつかのメリットがあります
リバウンド防止になる
まず一番に挙げられるのが、リバウンド防止効果。



実は大幅に減量した後にリバウンドしない人は、驚くほどウォーキングをしていることが報告されています。
長期的な体重維持に関して調べた研究。
18歳以上で少なくとも13.6kgの減量に成功し、その体重を少なくとも1年間以上維持している4000人以上の参加者を調査した。
まずこの研究では、減量のために食事と運動を組み合わせた人は89%だったことが報告されている。
一方で食事制限だけだった人は10%、運動のみを行なったと報告したのはたった1%だった。



つまり長期的に大幅に痩せて減量している人は、食事制限だけでなく意外なほど運動を行なっていることがわかります
そしてこれらの大幅に減量をして尚且つ維持している人が圧倒的に一番行なっていたのが、ウォーキング。
実に参加者の76%がウォーキングを行なっており、他には約20%が筋トレ、20%がサイクリング、18%がエアロビクスを行なっていたと報告されている。



ちなみにこの研究では1日1時間の速歩に相当する運動を行なっていたという記述があるので、そこから推定するとおおよそ1日1万歩くらいは歩いている可能性は高いと思います
- 速歩100歩/分×60分=6,000歩
- 座りがちな生活=4,000歩
→足して10,000歩くらい
先ほどは食事が9割と言ったが、それはあくまで”体重を落とす”という段階における話。
そのダイエットで作り上げた体型を維持するというフェーズでは思った以上に運動が重要になってくる。



そしてウォーキングは実践しやすい運動方法であり、実際に大幅に減量したかつリバウンドしていない人のほとんどが取り入れている運動でもあります
12,000歩までは、歩数が増えるほど死亡率も下がる
そしてもう一つのメリットが、歩数が増えるほど明確に死亡率が減るということ。



実際に歩数と死亡率との関係というのはめちゃくちゃわかりやすく、12,000歩までは綺麗に歩けば歩くほど死亡率が減るということがわかっています
歩数と死亡率について調べた研究。
結果として、歩数が上がるほど、死亡率が下がる傾向にあった。



実際の結果を見てみると、歩数が増えるほど見事に死亡率がさがっていることがわかります
| 死亡区分 | 指標 | 4000歩未満(n=655) | 4000〜7999歩(n=1727) | 8000〜11999歩(n=1539) | 12000歩以上(n=919) | 合計(N=4840) |
| 全死亡 | 死亡数(%) | 419(56.5) | 488(21.3) | 176(7.3) | 82(5.1) | 1165(16.1) |
| 全死亡 | 1000人年あたり死亡率 | 76.7 | 21.4 | 6.9 | 4.8 | 16.0 |
| 心血管疾患死亡 | 死亡数(%) | 169(23.2) | 162(6.5) | 52(2.3) | 23(1.1) | 406(5.4) |
| 心血管疾患死亡 | 1000人年あたり死亡率 | 31.6 | 6.6 | 2.1 | 1.0 | 5.4 |
| がん死亡 | 死亡数(%) | 62(7.8) | 133(6.4) | 56(2.5) | 32(2.0) | 283(4.1) |
| がん死亡 | 1000人年あたり死亡率 | 10.5 | 6.4 | 2.3 | 1.8 | 4.1 |


その効果こそ頭打ちになるが、実際に歩数が増えるほど死亡率が下がっていることがわかる。
ウォーキングというのは、手軽にできてなおかつリバウンド防止にもなって死亡率も下がるというまさに夢のようなエクササイズ。



自分も実際に歩けるときはできるだけ歩くようにしていますが、気分も爽快になるので非常におすすめです
1日1万歩は過度な有酸素運動なのか



ちなみに「1日1万歩で痩せないのは、過度な有酸素運動でコルチゾールが〜」みたいな主張をしている人もいるみたいですが、ぶっちゃけこれは半ば嘘です
というのも、多くの研究で有酸素運動のやりすぎラインは遥か彼方にあることが高いとされているから。
身体活動の健康への恩恵の上限について調べた研究。
結果として、ガイドライン(週150分の中強度運動 or 週75分の高強度運動)の300%-500%相当の運動で死亡リスクが39%低下したのに対して、ガイドラインの1,000%でもほぼ同程度の31%の死亡リスク低下がみられた。つまり、明確なやりすぎのラインは見つからなかった。
実際の結果が下記。


推奨量の10倍…つまり、毎日3.5時間の中強度運動 or 毎日1.8時間の高強度運動をしているような人ですら、明確に健康を損なうことはなかった。
たしかに若干死亡率の低下が戻っている用にも見えますが、それでもガイドラインや5-10倍と同レベル。
つまり、やりすぎによる明確な(健康的な)リスクというのは見つかっていない。
中強度や高強度の有酸素運動ですら”やりすぎライン”は遥か彼方にあるので、1日1万歩くらいで”過度な有酸素運動”というのは無理がある。



何よりリバウンド研究で1日1万歩くらいを歩いている人が多かったことを見ると、1日1万歩がやりすぎだとは決して言えません
まとめ
今回は「1日1万歩は意味があるのか?」について解説した。
- 1日1万歩は、ダイエット効果は薄い
- だけど食事制限と併用することで、リバウンド防止効果が期待できる
- 健康にも恩恵があるので、やっておいて損はない
ウォーキングというのは、特段金がかかるわけでもないわりに、メリットは多い。



無理に1日1万歩に固執する必要もないと思いますが、やっておいて損はないと思います
参考文献
1. Bravata DM, Smith-Spangler C, Sundaram V, Gienger AL, Lin N, Lewis R, et al. Using pedometers to increase physical activity and improve health: a systematic review: A systematic review. JAMA. 2007;298: 2296–2304.
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5. Arem H, Moore SC, Patel A, Hartge P, Berrington de Gonzalez A, Visvanathan K, et al. Leisure time physical activity and mortality: a detailed pooled analysis of the dose-response relationship: A detailed pooled analysis of the dose-response relationship. JAMA Intern Med. 2015;175: 959–967.










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