腹八分目より「お腹が空いてから食べる」ほうが痩せやすい理由

「腹八分目にしましょう」

ようじゅ

ダイエットではよく聞く言葉ですが、本当に効果があるのでしょうか?

たしかに、食べすぎなければ摂取カロリーは減る。

そして摂取カロリーが減れば、体脂肪も減りやすくなる。

ようじゅ

理屈としては何も間違っていませんが、そもそも腹八分目を実行するのがかなり難しいと思います

腹八分目 vs お腹が空いてから食べる
  • ヒトは満腹感を雑に判断しているので腹八分目は難しい
  • 一方でお腹が空いてから食べるは本能的に”快”だから実行しやすい
  • ヒトは外的条件で食べているので、空腹感を感じてから食べるだけで痩せる
ようじゅ

今回は、腹八分目と「お腹が空いてから食べる」ではどちらがダイエットで使いやすいのかを、研究から考えていきます

動画はこちら

目次

結論:腹八分目より「お腹が空いてから食べる」のほうが使いやすい

結論からいうと、腹八分目を目指すよりも、本当にお腹が空いてから食べるを徹底するほうが、ダイエットでは使いやすい。

ようじゅ

これらはどちらも食事の”タイミング”を調整する方法です

  • 腹八分目は、食べ終わるタイミングを調整する方法
  • お腹が空いてから食べるは、食べ始めるタイミングを調整する方法

そして多くの人にとって難しいのは、食べ始めたあとに止めること。

目の前に食事がある。
食べ始める。
おいしい。
もう少し食べたい。
でも腹八分目だからやめる。

ようじゅ

この流れは、かなり意志力に依存します

しかも食事中は、味、香り、見た目、皿の大きさ、周りの雰囲気など、食欲を刺激する要素が大量にある。

その状態で「ここで止める」を毎回やるのは、なかなかの高難度ミッション。

ようじゅ

だからこそ、食べ終わるタイミングを調整するよりも、そもそも食べ始める前に一度止まるほうが現実的です

腹八分目が難しい理由①:「食べすぎない」という禁止目標になりやすい

腹八分目の難しさは、どうしても「食べすぎない」という目標になりやすいこと。

ようじゅ

そして人間は「〜しない」という目標が苦手です。

  • 食べすぎないようにしよう。
  • 甘いものを食べないようにしよう。
  • 夜食を食べないようにしよう。

こういう目標は、気合いでなんとかできそうに見えて、実際にはかなり守りにくい。

ようじゅ

目標には、大きく分けて2種類あります。

回避目標:〇〇しない
接近目標:〇〇する

ダイエットでいうなら、「高カロリー食品を減らす」は回避目標。

ようじゅ

一方で、「低カロリー食品を増やす」は接近目標です。

そして2017年の研究では、高カロリー食品を減らすという方針は体重を減らさなかった一方で、低カロリー食品を増やすという方針は体重を減らしたことが報告されている。

”高カロリーの食品を減らす”と言う禁止目標は体重を減らさなかったが、”低カロリーの食品を増やす”という目標は体重を減らした

つまり、「食べないようにする」よりも、「食べる」にしたほうが行動としては続きやすい。

腹八分目はどうしても「これ以上食べない」という回避目標になりがちだが、「お腹が空いてから食べる」は接近目標。

ようじゅ

ヒトの性質上、回避目標の腹八分目よりは接近目標のお腹が空いてから食べるのほうが行動ルールとしては守りやすいと思います

腹八分目が難しい理由②:満腹感は視覚に騙される

ようじゅ

腹八分目が難しいもう一つの理由は、満腹感そのものがけっこう曖昧だからです。

私たちは、「お腹がいっぱいかどうか」を胃袋だけで判断していると思いがち。

でも実際には、目の前の食べ物の量や、皿の中身の減り具合にもかなり影響されている。

ようじゅ

有名な研究に、スープ皿がこっそり自動で補充される「ボトムレスボウル」の実験があります

ボールにスープを自動充填すると、そうでない場合よりも飲む量が増えた

この研究では、スープ皿の中身が見えないように自動で補充されると、参加者は普通の皿よりも多くスープを飲んだことが報告されている。

つまり、器の中身が減りにくいと、人は「まだそんなに食べていない」と判断しやすくなる。

ようじゅ

これはかなり直感的にもわかる話です。

  • 大きい皿に少しだけ盛られていると、なんとなく少なく見える。
  • 小さい皿に山盛りだと、なんとなく多く見える。
  • 袋にまだお菓子が残っていると、なんとなく食べ続ける。

こんなことは誰でも経験があるはず。

ようじゅ

ただし注意点として、このボトムレスボウル実験を行ったWansinkの研究群には、後年、複数の撤回やデータ管理上の問題が指摘されています

なので、この実験だけを強い根拠にすることはできない。

とはいえ、私たちが満腹感を純粋な内臓感覚だけで判断しているわけではなく、目の前の量や器の見え方に影響されるという考え方自体は正しい可能性が高い。

そしてここが、腹八分目の難しいところ。

ようじゅ

なぜなら自分では「体の感覚で食べる量を調整している」と思っていても、実際には皿の大きさや盛り付けに普通に騙されているからです

腹八分目が難しい理由③:一単位バイアスがある

ようじゅ

そして腹八分目の判断が難しい理由に、ユニットバイアスというものがあります

人間は、「1個」「1袋」「1皿」「1人前」という単位に引っ張られる。

これをユニットバイアス、つまり一単位バイアスと呼ぶ。

ようじゅ

2006年の研究では、食べ物の一単位を大きくすると、そのぶん食べる量が増えることが報告されています

人は”一単位”を大きくすると食べる量が増えた

たとえば、同じお菓子でも小袋だろうと大袋だろうと”一袋”を食べる可能性が高い。

これはパスタだろうとラーメンだろうとケーキだろうと同じ。

ようじゅ

このように、ヒトは一人前を基準にして食べる傾向があります

実際、途中で少し満腹感が出てきても「まあ、あと少しだし」と思って食べ切ってしまう人は多いはず。

腹八分目を意識していたとして、目の前のパスタを9割くらい食べたところで、「腹八分目だから、この残り1割はやめておくか」と冷静に箸を置ける人がどれくらいいるだろうか。

ようじゅ

少なくとも自分は、パスタの残り1割を前にして食べるのをやめられるほどできた人間ではありません

腹八分目が難しい理由④:味が変わるとまた食べられる

ようじゅ

腹八分目が難しい理由のあとひとつは、満腹感が”感覚特異性”ということです

人間には感覚特異的満腹感という性質があります。

簡単にいうと、同じ味には飽きても、新しい味が出てくるとまた食べられるという現象。

  • 焼肉のあとにデザートは入る。
  • 甘いものを食べたあとに、しょっぱいものが欲しくなる。
  • ラーメンで満腹なのに、なぜかアイスは食べられる。

実際に1981年の研究では、満腹感は感覚に特異的なものであり、新しい感覚の食品になると食べられることが報告されている。

満腹感は感覚特異性だということを示した研究

つまり、「もうこの味はいらない」と「もう何も食べられない」は別物。

  • しょっぱいものに満足しても、甘いものなら食べられる。
  • 甘いものに満足しても、しょっぱいものなら食べられる。

このように満腹感は、自覚しづらいし、味や感覚にもかなり依存している。

ようじゅ

一種類の食事だけならまだしも、食後にデザートが出てきたり、味変があったりすると、腹八分目の感覚は一気に崩れます

「お腹が空いてから食べる」はなぜうまくいきやすいのか

一方で、「お腹が空いてから食べる」は、腹八分目よりも実行しやすい方法。

ようじゅ

理由はシンプルで、食事中に止めるのではなく、食べる前に判断するからです。

食べる前なら、まだ食欲のスイッチが入り切っていない。

目の前の食事を食べ始めてから止めるよりも、食べ始める前に「今、本当にお腹が空いているか?」と確認するほうが簡単なのだ。

ようじゅ

そして実際に、空腹感を認識するトレーニングによって体重が減ったことを示す研究もあります。

空腹感の認識はトレーニング可能であり、血糖値測定を伴わなくても実践できる

初期空腹感を認識するトレーニングを行ったところ、過体重の被験者で体重が減少した

ようじゅ

空腹感を見分ける練習をすることで、食べるタイミングを調整し、結果として摂取カロリーを減らせる可能性があります。

現代人は、お腹が空いていないのに食べている

そもそも現代人は、本当にお腹が空いていないのに食べていることが多い。

  • 12時だから食べる。
  • 映画を見るからポップコーンを食べる。
  • 目の前にお菓子があるから食べる。
  • ストレスを感じたから食べる。
  • 眠いから食べる。
  • 口寂しいから食べる。
  • なんとなく満腹ではないから食べる。
ようじゅ

これは、空腹という内的な条件ではなく、時間、環境、感情、習慣といった外的条件で食べている状態です。

もちろん、毎回完璧に空腹を待つ必要はない。

なぜなら仕事の都合もあるし、家族との食事もあるし、生活リズムもあるから。

でも、ダイエットがうまくいかない人ほど、

  • 「本当にお腹が空いているから食べているのか?」
  • 「ただ食べるタイミングが来たから食べているのか?」

を一度確認する価値はある。

ようじゅ

このような外的条件で食べている機会が減るだけで、摂取カロリーは自然と下がります。

本当の空腹と偽の空腹

では、本当の空腹とは何か。

ようじゅ

個人的な目安としては、こんな感じです。

本当の空腹
  • 胃が空っぽに近い感じがある。
  • 体が食事を必要としている感じがある。
  • 食べ物を見る前から空腹を感じている。
  • 何か特定の食品ではなく、普通の食事を食べたいと思う。

一方で、偽の空腹はこんな感じ。

偽の空腹
  • 12時だから食べる。
  • 目の前にお菓子があるから食べる。
  • ストレスで食べたい。
  • 眠いから食べたい。
  • 口寂しい。
  • 満腹ではないから食べる。
  • 特定の甘いものやしょっぱいものだけを食べたい。
ようじゅ

ポイントは、「何か特定の食品だけを食べたい」は、本当の空腹ではない可能性が高いことです

たとえば「お腹が空いた。普通にご飯と味噌汁と肉か魚を食べたい(=なんでもいいから食べたい)」なら、かなり本当の空腹に近い。

一方で「お腹は空いてないけど、ポテチは食べたい」なら、空腹というより欲求。

もちろん欲求が悪いわけではない。

人間なので、ポテチを食べたい日もあるだろう。

ようじゅ

ただ、それを「空腹」ではなく「欲求」であることを認識することは、ダイエットにおいて重要だと思います

実践方法:食べる前に10秒だけ確認する

「お腹が空いてから食べる」を実践する方法はシンプル。

ようじゅ

食べる前に10秒だけ止まって、「今、本当にお腹が空いているか?」を確認するだけです

そしてその後、空腹感を1-10のスケールで評価してみるのがおすすめ。

実際に「お腹が空いてない/空いている」の二元論で考えると、評価があいまいになりがち。

なので10段階中で何なのかを確認するのかがおすすめ。

ようじゅ

自分も10段階中で5くらいだから、まだ食べなくてもいいか…と判断することも多いです

まとめ:腹八分目より、まずは空腹を待つ

今回は、腹八分目と「お腹が空いてから食べる」ではどちらがダイエットで使いやすいのかについて紹介した。

腹八分目 vs お腹が空いてから食べる
  • 腹八分目は実際に達成するのが難しい
  • お腹が空いてからたべる、はヒトの本能的に実践しやすい
  • 外的条件を排除するだけで、自然とカロリーが減る可能性が高い

何よりも「お腹がいっぱいじゃないのに食べるのをやめる」という腹八分目は本能的に不快だが、「お腹が空いてから食べる」は本能的に快。

ようじゅ

お腹が空いてから食べるのが結局一番幸せだな…と気づくのが、この方法のいいところでもありますのでぜひお試しあれ。

参考文献

  1. Vadiveloo M, Parker H, Raynor H. Increasing low-energy-dense foods and decreasing high-energy-dense foods differently influence weight loss trial outcomes. Int J Obes (Lond). 2018;42:479–486.
  2. Wansink B, Painter JE, North J. Bottomless bowls: why visual cues of portion size may influence intake. Obes Res. 2005;13:93–100.
  3. Geier AB, Rozin P, Doros G. Unit bias. A new heuristic that helps explain the effect of portion size on food intake. Psychol Sci. 2006;17:521–525.
  4. Rolls BJ, Rolls ET, Rowe EA, Sweeney K. Sensory specific satiety in man. Physiol Behav. 1981;27:137–142.
  5. Ciampolini M, Lovell-Smith HD, Kenealy T, Bianchi R. Hunger can be taught: Hunger Recognition regulates eating and improves energy balance. Int J Gen Med. 2013;6:465–478.
  6. Ciampolini M, Lovell-Smith D, Sifone M. Sustained self-regulation of energy intake. Loss of weight in overweight subjects. Maintenance of weight in normal-weight subjects. Nutr Metab (Lond). 2010;7:4.
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