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昼ごはんを食べ過ぎるとしても、朝ごはんを食べなくていい理由

朝食を食べると代謝がアップして痩せる!

朝ごはんを食べないと、昼食で血糖値が上がりすぎて太る!

ようじゅ

誰もが一度はこういった”朝ごはん”神話を聞いたことがあるのではないでしょうか

今回はそんな朝ごはんに関する記事。

本日の話題
  • 観察研究において、朝ごはんは最強
  • 朝ごはんは代謝を上げる
  • 朝ごはんを食べないと昼食を食べ過ぎたり間食が増える
  • それでも朝ごはんはダイエットにマイナス

健康問題についても若干触れますが、「朝食を食べるほうがダイエットに効果的なのか?」を紹介していきます。

目次

多くの観察研究で朝ごはんは最強

女性

朝ごはんは健康にもダイエットにも良いんでしょ?

ようじゅ

「朝ごはん=健康にいい」「朝ごはんはダイエットにいい」は今でも根強く残っている考えですが、実はちゃんとした根拠があります

というのも、多くの観察研究で「朝ごはんは最強」ということが示されている。

2021年のメタ分析[1]

観察研究14件を抜き出したもの。朝食の摂取回数が≦3回の人と比べて、>3回の人は下記のリスクが低かった

  • 2型糖尿病
  • 肥満
  • メタボリックシンドローム
  • 低HDLコレステロール血漿
  • 心血管疾患
  • 高血圧
  • 脳卒中
2020年のメタ分析[2]

観察研究45件を抜き出した研究。朝食摂取の割合が低くなると、高い場合に比べて肥満になるリスクがあがった

このように、多くの観察研究で「朝ごはんを食べている人は病気のリスクが低く、BMIも低い傾向にある」ということが分かっている。

ここで注意しなければいけないのが、相関と因果は違うということ。

例えば現代では「朝食を摂ること=良いこと」となっているので、単に健康意識が高いからこそBMIも低いし朝食を食べている可能性がある。

とはいえ、多くの観察研究で朝食を食べると健康的になるし痩せるという報告がされているのは事実。

ようじゅ

後ほど紹介しますが朝食を摂ることは間接的に健康を高める可能性が高いので、そういった事情もあり”朝ごはん=良いもの”とされてきた歴史があります

朝ごはんが健康とダイエットに良い理由

ようじゅ

そして、朝ごはんが健康にいいというそれらしいメカニズムもちゃんとあります

  • 胃排出の速度は朝にピーク[3]
  • 膵臓β細胞の働きは朝に15%高い[4]
  • 2型糖尿病患者では、朝食を抜くとインスリンの分泌が悪い[5]
  • 血糖値の上昇は、朝食を抜いたグループのほうが高かった[6]

例えば糖尿病に関して言えば、インスリンを放出する膵臓β細胞の働きが朝に良かったり、2型糖尿病患者が朝食を抜くとインスリンの分泌が悪かったりすることが知られている。

あとは朝食を抜いたグループのほうが昼食で血糖値が上がりやすいことが知られている。

ようじゅ

これはダイエット情報として耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか

このように、健康に有利(かも)と思えるようなメカニズムがいくつか存在する。

ここで”かも”と付け加えたのは、実は朝食を食べないことによる悪影響は”朝食を普段食べる人にのみ”起こる可能性があるから。

2015年の研究[7]

被験者となったのは、25-40歳の肥満気味女性。

  • 普段朝食を食べる人が朝食を抜くと、ランチ後のランチのFFAとインスリン反応が大きくなり、ランチ後の脂肪酸酸化が低下した
ようじゅ

朝食を食べないことによる悪影響が出るのは、普段朝食を食べてる人だけでした

このように健康には絶対に朝食が必要なのかはわからない。

とはいえ朝食が健康にいいということは観察研究でも確かめられているし、確かに朝食が有利に働くようなメカニズムもある。

ようじゅ

これはダイエットも同じで、朝食のほうが痩せると言えるようなメカニズムがいくつかあるので紹介します

理由①朝ごはんのほうが食事性熱生産が大きい

朝食の代謝上昇効果は夕食の2.5倍

朝ごはんを食べると代謝がアップして痩せる!

ようじゅ

この話を聞いたことがある人は多いと思いますが、事実か嘘かで言えば事実です

と朝の時間帯の食事は夜の時間帯に比べて、食事によるカロリー消費(食事性熱生産:DIT)が高い傾向がある。

2020年の研究[8]

普通体型の男性16人を対象にしたもので、食事配分で2つのグループに分けた。クロスオーバーデザイン。

  1. 朝食爆食いグループ:カロリー配分を”朝1000kcal、昼500kcal、夜250kcal”で摂取
  2. 夕食爆食いグループ:カロリー配分を”朝250kcal、昼500kcal、夜1000kcal”で摂取

この研究では食後3時間半にわたって食事性熱生産を測定したところ、食事の量に関わらず代謝上昇は朝食のほうが2.5倍高かったことが報告されている。

1日の代謝変化

この結果をよく見てみると、食事後の代謝のピーク値は朝食ヘビーでも夕食ヘビーでも同じくらいなことが分かる。

違うのは食事後ではなく食事前。

「DIT=食事後REE-食事前REE」という差分で計算されているため、食事前REEが低い朝のほうがDITは大きくなるのだ。

ようじゅ

代謝が低い朝の時間帯に大量の朝食を食べてREEを上げるのは代謝という意味では合理的な選択肢になります

この「朝食による代謝上昇は夕食による代謝上昇よりも大きい」という結果は、他の研究でも実証されている。

2015年の研究[9]

被験者となったのは成人13人。午前8時と午後8時に食事をしてもらい、その後114分間のDITを測定した

この研究では、結果として夕食による代謝上昇は朝食に比べて44-50%も低かったことが報告されている。

ようじゅ

朝食は夕食に比べてDITが2倍近くあるというのは、かなり確立された話になります

朝食による代謝上昇には実際、どれくらいの効果があるのか

それじゃあ朝食を食べる方がダイエットに有利なんだ!となりそうだが、話はそう単純ではない。

ようじゅ

この代謝上昇が実際にどれくらい意味のある値なのか?を考えないといけません

朝食と夕食で誘発される熱生産量というのは、実は微々たるもの。

  • 朝食0.24kcal/min
  • 夕食0.13kcal/min

確かに数値としては朝食の熱生産は夕食の倍近くあるが、その差分はたった0.11kcal/min。

ようじゅ

要するに、1時間で7kcal未満の差しかありません

食事による食事性熱生産はたかが10-20kcalの差しかない世界。

確かにカロリー上昇は見られるが、このデータをもとに「朝食を食べると代謝がアップして痩せる」というのはかなり暴論。

ようじゅ

DITは全体のカロリーで見ると無視できるほど小さく、朝食を摂る理由としては不十分です

ちなみに反例として「夕食のほうが代謝上昇が大きかった!」とする研究もある。[10]

しかしこの研究は病院で寝たきりの52-80歳の老人を対象にしたもの。

ようじゅ

さらにはチューブ栄養なので、普通のヒトは朝食のほうがDITが大きいと思っていいでしょう

理由②朝ごはんで活動量が増える

「朝ごはんのほうがDITが大きい=代謝が増える」は暴論だが、実は他のメカニズムを通して朝ごはんは代謝を上げることが分かっている。

そのメカニズムは単純で、無意識化での運動が増えるというもの。

2014年の研究[11]

被験者となったのは男女33人で、2つのグループに分けたランダム化比較試験

  1. 朝に>700kcalの食事
  2. 昼12時まで絶食

結果として朝食を食べたグループは絶食群よりも身体活動量が高く、1日の消費カロリーも大きかったことが報告されている。

  • 身体活動量は朝食群のほうが多かった(1449kcal vs 1007kcal、P=0.04)
    • 朝食群は絶食群よりも朝の間に”軽度”の身体活動を行っていた
  • 安静時代謝率は両群とも差がなかった(1453kcal vs 1452kcal)

朝ごはんを食べたことで午前中に身体活動量が高まり、1日の消費カロリーも増えたのだ。

ようじゅ

朝ごはんを食べないと気力が湧かなくて動きたくなくなる…という経験がある人もいるかと思います

朝食を抜くと体がだるくなり、実際に大して動かなくなることが研究で示されている。

1日の摂取カロリーで多くを占めているのが、NEATと呼ばれる運動以外で消費するカロリー。

朝ごはんを食べることでNEATが増加し、消費カロリーが増えることが分かっているのだ。

ようじゅ

ちなみに朝食を抜いた時の無気力と空腹を吹き飛ばすためには、カフェインがオススメです

理由③朝ご飯を食べると食欲コントロールがうまくなる

朝ごはんを食べないと、お腹が空きすぎてしまうからダイエットに悪い!

ようじゅ

これもダイエット界ではよく聞く話ですが、朝を多く食べるほど日中の食欲を抑えられるのは事実です

2013年の研究[12]

被験者となったのは大学生の男女16人。2つの条件に分けて、エネルギー摂取量を調査した

  1. 8:45に朝食を摂る
  2. 11:00まで何も摂取しない

朝ごはん摂取の有無でエネルギー摂取量を調べたところ、結果は下記の通り。

まず朝食を抜いたグループのほうは、日中の食欲が高かった。

そしてその影響なのか、朝食を食べた場合よりランチを多く食べる傾向にあったのだ。

ようじゅ

他の研究では、朝ごはんを抜くことによって間食も増えることが報告されています

1992年の研究[13]

朝食を食べたグループは朝食を食べなかったグループに比べ、衝動的にお菓子を食べることが少なかった。

朝食をしっかり食べておけば、ランチを食べ過ぎることもなければ、お腹が空きすぎて衝動的に間食することも防げる。

ようじゅ

このような理由もあって、ダイエットアドバイザー(?)の中には食欲をコントロールするために朝食を食べるべきと主張する人がいます

ダイエットに関する実際の研究結果

女性

朝食を食べる人のほうがBMIが低いことが分かっているんでしょ?

男性

さらには消費カロリーも上がるし、食欲もコントロールできる…これは朝食を食べるしかない!

ようじゅ

そうなる気持ちも分かりますが、まだそう結論付けるのは早いです。

  • 観察研究で相関があったとしても、因果関係があるかは分からない
  • 理論的には正しいことであっても、実際に正しいとは限らない

先ほども紹介したように、まず観察研究では相関は分かっても因果関係は分からない。

そして理論的に正しくても、実際にヒトで実験してみたところ違う結果になった例は山ほどある。

ようじゅ

以前紹介した「筋トレ後のたんぱく質摂取」や「食事回数」がいい例です

朝食とダイエットにいい相関関係が見つかったとしても、それっぽいメカニズムがあったとしても、朝食を食べた方が痩せるかどうかはヒトを対象にしたランダム化試験を見るまでは分からないのだ。

朝食を摂るor摂らないでグループ分けしたランダム化試験のメタ分析

ようじゅ

ここからは実際に「朝食あり/なし」でグループ分けをして、体重の変化を調べた研究を見てみます

ちなみに朝食に関する観察研究は腐るほどありますが、ランダム化試験は思ったより多くない。

2019年のメタ分析[14]

「朝食あり or なし」でグループ分けしたランダム化試験のみを比較したメタ分析。

抜き出された研究は13件で、アウトカムは体重 or エネルギー摂取量。

筆者被験者朝食の摂取習慣実験群コントロール摂取カロリー体重変化期間
男女比集団BMI年齢朝食あり朝食なし朝食あり朝食なし
Astbury [15]12 (0% female)健康な医療従事者23.523.4 (7.3)あり7:45にケロッグを食べ、10:15にプリロード。11:45に昼食ブュッフェプリロードと昼食ブュッフェのみ1625kcal1632kcal7日間
Betts [11]33 (64% female)健康な男女24.436 (11)11:00までに700kcal以上を消費。※起きてから2時間以内にその半分は食べる正午まで何も食べない2715kcal2169kcal朝食なしで↓-0.2kg-0.4kg6週間
Chowdhury [16]23 (65% female)健康な肥満者3344 (10)11:00までに700kcal以上を消費。※起きてから2時間以内にその半分は食べる正午まで何も食べない2618kcal2303kcal1.0kg0.2kg6週間
Clayton [17]10 (0% female)朝食を食べる習慣のある人23.522 (3)あり朝食で733kcalを摂取。4.5時間後に昼食、11時間後にディナーを自由摂取昼食までは何も食べない3447kcal2792kcal朝食なしで↓24時間×2
Farshchi [18]10 (100% female)医療従事者23.225.5 (5.7)あり7:00-8:00にシリアル、10:30-11:00にチョコレートクッキーを摂取10:30-11:00にチョコレートクッキー、12:00-12:30にシリアルを摂取1665kcal1756kcal朝食なし↑-0.1kg0.4kg2週間×2
Geliebter [19]36 (50% female)肥満者3233 (7.5)オーツ麦の粥orケロッグとデカフェのコーヒーを支給デカフェのコーヒーのみを支給-0.1kg-1.2kg朝食なし↓4週間
LeCheminant [20]49 (100% female)普段朝食を食べない女性Not reportedなし起きてから1時間半以内に1日の15%以上にあたるカロリーを摂取※8:30までに摂取11:30まで絶食1951kcal1688kcal朝食群だけベースラインより増加0.6kg-0.4kg朝食なし↓4週間
Levitsky [12]16 (81% female)大学生24.124.0 (2.8)混合8:45に朝食を摂取11時まで何も食べない。11時に昼食、17時に夕食2450kcal2000kcal朝食なしで↓2×24 hours
Thomas [7]18 (100% female)肥満女性30.2Median 29 (IQR 27-32)あり小麦フレーク、ミルク、スクランブルエッグ、オレンジジュースを摂取水のみ2516kcal2344kcal2×8 hours
なし
Yoshimura [21]20 (100% female)朝食習慣のある女性21.8 (0.9)ありBreakfast arm: 30% daily energy intake.No breakfast arm: water only until noon.?朝食なしで-262kcal2×24 hours
Dhurandhar [22]204 (82.6% female)健康な肥満者42 (11.2)なし10:00までに朝食を摂取11:00まで何も食べない-0.8kg-0.6kg16週間
あり-0.6kg-0.7kg
Schlundt [13]52 (100% female)肥満女性30.618-55 yearsなし1日3食食べるように指示※1200kcalに固定1日2食※1200kcalに固定-7.7kg-6.0kg12週間
あり-6.2kg-8.9kg
Reeves [23]37 (57% female)肥満と普通体系の男女21.31&29.63Group 1, 29.5 (7.9); group 2,36.2 (16.3)?起きてから1時間以内に食事を摂取正午まで何も食べない?2×7 days
ようじゅ

朝食を摂取するかどうかで結果を分析したところ、総じて朝食を摂らないほうがダイエットに有利という結果になりました

  • 朝食を食べないほうが0.44kg多く痩せた
  • 朝食を食べないほうがエネルギー摂取量が260kcal少なかった

まず体重だが、朝食を食べない方が0.44kg多く痩せたという結果になっている。

そしてこの結果がどこからもたらされたかというと、朝食を食べなかったほうが摂取カロリーが260kcal少なかったことが理由。

ようじゅ

先ほど紹介した理論に反して、朝食はダイエットに逆効果となってしまいました…はたしてなぜ?

理由①&②の落とし穴「消費カロリーが増えれば、摂取カロリーも増える」

朝食を食べると代謝が上がって痩せる!

この話自体は事実だが、実はダイエットに繋がらない可能性がある。

というのも朝食で消費カロリーは増えるが、摂取カロリーも増えてしまうからだ。

先ほどの研究にもう一度登場してもらおう。

2014年の研究[11]

被験者となったのは男女33人で、2つのグループに分けたランダム化試験

  1. 朝に>700kcalの食事
  2. 昼12時まで絶食

まず朝ごはんを食べたことで午前中に身体活動量が高まり、1日の消費カロリーも増えた。

実はこの研究では摂取カロリーも調べられていて、こちらも大幅に増えたことが報告されている。

  • エネルギー摂取量は、朝食群のほうが多かった(2715kcal vs 2169kcal、P=0.01)
    • 追加エネルギーのほとんどは糖質だった(337g vs 249g、P=0.004)

確かに朝食の摂取で消費カロリーは増えたが、実際は摂取カロリーも増えているのでカロリー収支的にはトントン。

ようじゅ

朝食を食べると代謝(消費カロリー)が上がっても、摂取カロリーが増えたのでは体重が減ることはありません

ちなみにこの研究でも食事性熱生産は朝食群のほうが高かったことが報告されているが、その差はたったの40kcal。(221kcal vs 180kcal)

カロリー摂取量が550kcalほど違うのに、食事性熱生産はたったの40kcalしか変わらない。

ようじゅ

この研究を見ても、食事性熱生産は気にするだけバカバカしいことが分かります

肥満の被験者を対象にした同様の研究でも、有意差には至らなかったものの同じような傾向があったことが報告されている。

2016年の研究[16]
  • 被験者は男女23人で、肥満体型
  • ランダム化試験

結果は下記のとおりです。

  • 朝の身体活動量は朝食ありのほうが高かった(差=188kcal)が、1日の身体活動量としては変わらなかった(差=272kcal)
  • 朝食群と絶食群で1日の摂取カロリーに差はなかった(2381kcal vs 2719kcal,P=0.3)

朝食を食べると活動的になって確かに消費カロリーが上がる。

しかし実際には、同時に摂取カロリーも上がるのでダイエットにプラスの効果はないのだ。

理由③の落とし穴「昼を食べ過ぎても、間食をしすぎても問題ない」

朝ごはんを食べないと、昼を食べ過ぎてしまう!間食もしちゃう!

ようじゅ

これまた事実ですが、実はダイエットにおいて大して問題になりません

朝食を食べないと、確かに昼食はいつもより食べてしまうし、間食もしてしまう。

ようじゅ

しかし、このカロリー増加よりも朝食を抜くことで得られるマイナスカロリーのほうが大きいことがわかっています

2013年の研究[12]

被験者となったのは大学生の男女16人。2つの条件に分けて、エネルギー摂取量を調査した

  • 8:45に朝食を摂る
  • 11:00まで何も摂取しない

朝ごはん摂取の有無でエネルギー摂取量を調べたところ、結果は下記の通り。

まず朝食を食べなかったグループは、昼食や間食を多めに食べる”代償行動”が見られる傾向にあった。

しかし、その効果は朝食で摂らなかったカロリー全てを補うほどではない。

1日の総摂取カロリーは朝食摂取が2450kcalだったのに対して、朝食を摂取しなかったグループは2000kcalほどだったのだ。

ようじゅ

実際に朝食抜きで浮かせたカロリーすべてを埋め合わせてしまうほど食べることはありません

実際にこの研究では朝食は600kcalですが、昼食はいつもより食べているとはいえ+150kcal。

朝食を食べなかったことによる昼食の補償は20%程度とされており、朝食を食べないマイナス効果のほうが大きくなる。

確かに食欲が増えて昼食や間食をいつもより食べ過ぎる可能性は増えるが、それでも朝食を食べないでカロリーを浮かせるほうがダイエットには有利なのだ。

朝ごはんを食べると健康にいい理由

朝食を食べると、消費カロリーも摂取カロリーも増える…実は朝食が健康にプラスに働く理由もこれが原因。

というのも、消費カロリーも摂取カロリーも多い”高エネルギーフラックス”というのは健康に良いことがわかっている。

ようじゅ

さらには体重維持にも効果的なことがわかっています

高エネルギーフラックスの特徴[24,25]
  • 高エネルギーフラックスの人は、体重維持に成功する
  • 高エネルギーフラックスの人は、体重減少とは無関係にインスリン感受性や脂質代謝などのマーカーがよい

高エネルギーフラックスの特徴である「体重も低いし健康」というのは、まさに朝食を食べる人に見られる特徴と同じ。

ようじゅ

朝食を食べる人のほうが健康なのは、朝食を食べたからと言うよりは高エネルギーフラックスが原因です

健康にいい理由①朝食を食べるほうが栄養素を獲得できる

高エネルギーフラックスが健康にいい理由の一つ目は、単純にエネルギー摂取量が増えると栄養素の量も増えることにある。

ようじゅ

実際に朝食を食べる人の方が、摂取カロリーも多く栄養素の欠乏も少ないことが様々な国で行われた調査でわかっています

2018年の観察研究のレビュー[26]
  • ボガルサ心臓研究(n=504)では、朝食を摂っていない人の74%が必要な栄養素の2/3を満たしていなかったが、朝食を摂っている人では41%だった
  • オーストラリアの2-18歳2821人を対象に24時間想起法をしてもらった→朝食抜きのグループでは飽和脂肪酸の摂取量が多く、食物繊維とほとんどの微量栄養素の摂取量が少なかった
  • ブラジルの10-19歳の子供7276人を調べた研究→朝食を摂る人は、そうでない人に比べて砂糖摂取量が低い
  • カナダの子供12281人、成人19913人を調べた研究→微量栄養素の栄養不足割合は、朝食を摂らない人のほが多かった
  • 韓国の7-18歳1600人を調べた研究では、朝食を摂る人のほうが微量栄養素のバランスがよかった

摂取カロリーが多いということは、それだけたくさんの食品を食べれるということ。

当然微量栄養素の摂取量も多くなるので、栄養不足に陥る可能性が低くなる。

ようじゅ

朝食を食べる方がカロリーも微量栄養素も摂れるので、健康的にはこちらのほうが良いということになります

ちなみに、朝食は16世紀に一般に普及するまでは、有史以来中世までは幼児や病人(と労働者)の食事とされていた。

ようじゅ

昔のヒトも朝食を食べる方が(食べる量が増えて)栄養欠乏になりづらい、ということは経験的に気づいていたのかもしれません

理由②シンプルに運動量が多い

そして高エネルギーフラックスが健康に良い理由の2つ目は、シンプルに運動量が多いから。

朝食を食べる方がだるさが無くなって、自然と活動量が増える。

ようじゅ

座りがちな生活からよく動くようになるので健康になるという、とてもシンプルな理由が高エネルギーフラックスが健康に良い理由です

「朝食を食べる=摂取カロリーが増えて微量栄養素の摂取量も増える&よく動くようになる=健康になる」という図式が成り立つのだ。

朝ごはん抜きで筋トレのパフォーマンスが下がった

ようじゅ

最後に「朝食を抜くと筋トレのパフォーマンスを下げる説」に関して説明して終わりにしましょう

というのも、実は朝食を食べないと筋トレのパフォーマンスが下がるというエビデンスが存在するのだ。

2019年の研究[27]
  • 被験者となったのはトレーニング経験のある男性16名
  • 参加者は、少なくとも週3回は朝食を習慣的に摂取
  • クロスオーバーデザイン
    • トレーニング2時間前に朝食を摂取
    • トレーニング前に水だけを摂取

結果として、朝食を抜くと筋トレのパフォーマンスが下がることが分かった。

  • 朝食抜き条件では、朝食を食べた場合と比べて著しく空腹を感じた
  • スクワットの総レップ数は、朝食摂取のほうが多かった(58回 vs 68回)
  • ベンチプレスの総レップ数は、朝食摂取のほうが多かった(38回 vs 40回)
ようじゅ

結果としては、朝ごはんを食べないとめちゃくちゃ空腹になって筋トレのパフォーマンスが下がるという分かりやすいものでした

「じゃあ筋トレをする人は、朝食を摂らなきゃダメなんだ!」となりそうだが、焦る必要は全くない。

というのも、朝食を抜いても絶食状態でトレーニングをしなければ問題ないから。

2023年の研究[28]

被験者となったのは男女39人。朝食を習慣的に食べる人19人と食べない人20人。2つの条件で筋トレをしてもらった

  • 朝食と昼食を食べる
  • 朝食を食べないで昼食だけ食べる

トレーニングを”昼食後に”行ったところ、パフォーマンスはどちらの条件でも変わらなかった。

朝食を食べなくても、昼食後に筋トレをすればパフォーマンスは下がらないという当然といえば当然の結果になりました。

ようじゅ

絶食状態で筋トレをするのはおすすめできませんが、筋トレを午後に持ってくればパフォーマンス低下を気にする必要はありません

朝食で甘いものを食べるほうがリバウンドしない!?

ようじゅ

最後に、朝食に甘いものを食べるほうがリバウンドしなかったという面白い研究を紹介しておきます

2012年の研究(R

被験者となったのは、肥満の男女193人。

  • 16週間の介入期間
    • 朝食600kcal&夕食300kcalを摂取したグループ(高たんぱく質&高糖質の朝食。デザートを含む)
    • 朝食300kcal&夕食600kcalを摂取したグループ(低糖質の朝食)
  • 16週間のフォローアップ研究
    • カロリー制限は自己管理の自由摂取
    • アドバイスとして、体重維持は以前の生活習慣を守れるかどうかにかかっていると脅された

実際の結果は下記の通り。

まず介入期間だが、どちらも同じくらい体重を減らした。

全く違う挙動を見せたのはフォローアップ期間。

ようじゅ

朝食が少なかった被験者はリバウンドしたのに対して、朝食を多く取った被験者はさらに体重を減らしました

この研究では、朝食を重くしたグループのほうが、空腹ホルモンであるグレリンの値が低くドカ食い欲求も低かったことが報告されている。

しかしそれ以上に、研究者は朝食にデザートが入っていたことが、甘いものなどへの渇望を減らしたことを疑ったのだ。

ようじゅ

フレキシブルダイエットがリバウンドに強いというのは以前の記事でも説明しましたが、この研究でもリバウンド耐性が発揮されました

まとめ

今回は「朝ごはんとダイエット」に関して紹介した。

朝ごはんまとめ
  • 朝食を抜くと、摂取カロリーが減るので体重も落ちる
  • 朝食を抜くと、代謝が上がるが摂取カロリーも上がるのでダイエットには繋がらない
  • 朝食を抜くと、昼を食べ過ぎたり間食をしたりする可能性があるが朝食を抜くことでカロリーを浮かせる効用のほうが大きい

結論としては、朝食を抜く方がダイエットに繋がる可能性が高い。

ここで1つ落とし穴があって、衝動的な間食でお菓子をつい食べ過ぎてしまうという人は別の問題が浮上する可能性がある。

お菓子などはカロリー密度が高く摂取カロリーが上がりやすい特徴があるので、すぐに間食で食べれるものとしてバナナやヨーグルトを用意しておくのがおすすめ。

このように間食でも3食きっちり食べる場合と”食事内容”を大きく変えないようにすれば、朝食を抜く方が痩せる。

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ようじゅ

朝食を抜くと朝だるいという人は、コーヒーも試してみることをオススメします

参考文献

1. Li Z-H, Xu L, Dai R, Li L-J, Wang H-J. Effects of regular breakfast habits on metabolic and cardiovascular diseases: A protocol for systematic review and meta-analysis: A protocol for systematic review and meta-analysis. Medicine . 2021;100: e27629.

2. Ma X, Chen Q, Pu Y, Guo M, Jiang Z, Huang W, et al. Skipping breakfast is associated with overweight and obesity: A systematic review and meta-analysis. Obes Res Clin Pract. 2020;14: 1–8.

3. Goo RH, Moore JG, Greenberg E, Alazraki NP. Circadian variation in gastric emptying of meals in humans. Gastroenterology. 1987;93: 515–518.

4. Qian J, Dalla Man C, Morris CJ, Cobelli C, Scheer FAJL. Differential effects of the circadian system and circadian misalignment on insulin sensitivity and insulin secretion in humans. Diabetes Obes Metab. 2018;20: 2481–2485.

5. Jakubowicz D, Wainstein J, Ahren B, Landau Z, Bar-Dayan Y, Froy O. Fasting until noon triggers increased postprandial hyperglycemia and impaired insulin response after lunch and dinner in individuals with type 2 diabetes: a randomized clinical trial. Diabetes Care. 2015;38: 1820–1826.

6. Ogata H, Kayaba M, Tanaka Y, Yajima K, Iwayama K, Ando A, et al. Effect of skipping breakfast for 6 days on energy metabolism and diurnal rhythm of blood glucose in young healthy Japanese males. Am J Clin Nutr. 2019;110: 41–52.

7. Thomas EA, Higgins J, Bessesen DH, McNair B, Cornier M-A. Usual breakfast eating habits affect response to breakfast skipping in overweight women: Metabolic Effects of Breakfast Skipping. Obesity . 2015;23: 750–759.

8. Richter J, Herzog N, Janka S, Baumann T, Kistenmacher A, Oltmanns KM. Twice as high diet-induced thermogenesis after breakfast vs dinner on high-calorie as well as low-calorie meals. J Clin Endocrinol Metab. 2020;105: e211–e221.

9. Morris CJ, Garcia JI, Myers S, Yang JN, Trienekens N, Scheer FAJL. The Human Circadian System Has a Dominating Role in Causing the Morning/Evening Difference in Diet-Induced Thermogenesis. Obesity . 2015;23: 2053–2058.

10. Leuck M, Levandovski R, Harb A, Quiles C, Hidalgo MP. Circadian rhythm of energy expenditure and oxygen consumption. JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2014;38: 263–268.

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12. Levitsky DA, Pacanowski CR. Effect of skipping breakfast on subsequent energy intake. Physiol Behav. 2013;119: 9–16.

13. Schlundt DG, Hill JO, Sbrocco T, Pope-Cordle J, Sharp T. The role of breakfast in the treatment of obesity: a randomized clinical trial. Am J Clin Nutr. 1992;55: 645–651.

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16. Chowdhury EA, Richardson JD, Holman GD, Tsintzas K, Thompson D, Betts JA. The causal role of breakfast in energy balance and health: a randomized controlled trial in obese adults. Am J Clin Nutr. 2016;103: 747–756.

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